こんにちは。
皆さんは「世界三大名画」をご存じでしょうか。
- ベラスケス 「ラス・メニーナス」
残りは以下から2つ。
- エル・グレコ 「オルガス伯の埋葬」
- レンブラント 「夜警」
- ダ・ヴィンチ 「モナ・リザ」
そう。世界三大といいつつ何故か4つあるのですが…
私はこの中で一番好きな絵が
レンブラントの『夜警』です。
レンブラントの弟子サミュエル・ファン・ホーフストラーテンは
「動きにすばらしく勢いがあり、あまりに力強いため
並んで横に掛けられた他の絵がトランプのカードみたいに見える」と書いています。
確かに非常にダイナミックで存在感のある絵ですね。
今回はこの『夜警』という作品について解説していきます。
『夜警』とは
作者 | レンブラント・ファン・レイン |
制作年 | 1642年 |
サイズ | 363 cm × 437 cm |
所蔵 | アムステルダム国立美術館 |
ちなみに『夜警』は後から付けられた題名であり
『フランス・バニング・コック隊長とウィレム・ファン・ライテンブルフ副隊長の市民隊』
が適切な題名です。
オランダ黄金時代、火縄銃手組合による市民自警団が出動する様子を描いています。
レンブラント・ファン・レイン
レンブラントは、同じオランダのフェルメール、イタリアのカラヴァッジョ、フランドルのルーベンス、スペインのベラスケスなどと共に、バロック絵画を代表する画家の一人である。また、ヨーロッパ美術史における重要人物の一人である
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「レンブラント・ファン・レイン」
『夜警』の豆知識
- 『夜警』は「夜の見回り」の絵ではない
- 集団肖像画の暗黙の掟を破った
- いるはずのない女性の正体は?
『夜警』は「夜の見回り」の絵ではない
実はこの絵画は昼の情景を描いているということをご存じでしょうか。
「ええ!?じゃあなんで夜って題名にしたの?」
実は『夜警』は今でこそ世に浸透した通称ですが
当時この絵にはタイトルがなかったのです。
絵画の表面が茶色く変色し絵画全体が暗くなったため
夜の絵だと誤解され『夜警』と呼ばれるようになりました。
集団肖像画の暗黙の掟を破った
当時のオランダではこの絵のような「集団肖像画」がブームでした。
『夜警』も市民隊の隊長バニング・コックと隊員17名の計18名から制作を依頼されたものでした。
通常「集団肖像画」はサッカーの集合写真のように全員平等に描くのが暗黙の掟でした。
レンブラントはそのような掟を破り隊長と副隊長をにスポットライトを当て目立つように描き
全身がきちんと描かれているのはたったの3人のみでした。
これに対し発注者のほとんどは不満を訴えました。
まあサッカーの集合写真も一人だけピックアップされていたら
他の選手たちから不満が出ますよね。
特にこの人なんか、顔が半分隠れちゃってるし…
レンブラントはより芸術性を追求し、
「集団肖像画」としては当時掟破りだった
このような構図を採用したのです。
いるはずのない女性の正体は
レンブラントは群像の中から3人の主要人物を浮かび上がらせています。
隊長と副隊長、そして中央左奥の少女です。
自警団のメンバーでもないのにスポットライトを浴びている
この少女はいったい何者なのでしょうか。
この人物は、『夜警』の完成を待つことなく29歳で他界してしまった
レンブラントの妻サスキアではないかと言われています。
『夜警』が完成した1642年はサスキアが亡くなった年でもあり
妻への思いから彼女を描き光を注いだのかもしれません。
ちなみにこの絵にはレンブラント自身と思われる人物も描かれています。
なぜこの人物がレンブラント自身だと言われているのか。
それはこの人物だけが武装せずベレー帽を被っているからです。
もしこれが真実ならこの『夜警』という作品に
夫婦揃って登場しているということになります。
おわりに
いかかでしたか。
個人的には、芸術を単に「絵がうまいなあ」の感想で
まとめてしまうのは非常に勿体ないと思っています。
この絵が描かれた理由、歴史的背景、政治情勢、構図、人物…
これらを知ったうえで同じ絵をもう一度見ると
また違った感想が浮かびます。
皆さまも美術館に足を運んだ際には
絵の解説に着目してみてください!
今日のひとこと
「あなたが知っていることを繰り返し実践しなさい。
そうすればあなたが今知らないことを明確にすることができるのです。」
ではまた!